キュレーションとはただの「まとめ」なのか?

珍しく画像とか貼っちゃったり。いま仕事で扱っていることもあり、人の情報取得行動について興味があります。その中で今更だけど「キュレーション」について考えてみたい。

キュレーション?

定義は色々ありますが、よく日本語に直されるのは「まとめ」ですね。

世の中にある情報を整理して、まとめる。まとめることによって文脈を持たせ、個々の情報源単体では持てなかった価値を出す。それがキュレーションの持つ意義だと思う。例えば「銀座で会社の飲み会の2次会として使える駅から近い店」と言う良いまとめ記事があれば、それはホットペッパー食べログの「銀座 2次会」と言う検索結果よりもきっと有意義なものになるはず。

キュレーションサイトの例

メジャーなものとして以下の3つを挙げておきます。

それぞれの詳細や他との違いは今度書くとして、とりあえず「世の中のどこかの情報をまとめて1ページで見せる」と言う意味では同じです。

「まとめ」と「編集」

列挙するだけなら「まとめ」と言う言葉がしっくり来るのですが、そこに考察や注釈を加えると「編集」と言う言葉の方が個人的にはしっくり来る。例えばhotpepperと言う雑誌がありましたが、あれって結局ただのお店の広告のまとめなわけで。ただ「エリア」や「合コンに使えるモテ店特集」みたいな軸があったり、同じフォーマットで横並びで比較できると言うこと自体を「価値」化出来ているから事業として成立しているし、多くのユーザーもいるのですよね。

上記のようなサイトは「まとめる」ためのプラットフォームであり、ただ便利な編集作業ツールや換金化ツール、閲覧者数を担保してくれるものです(それらが大きな意味を持ってはいますが)。情報を「まとめる」作業自体は本来別に個人のブログでも出来るしtwitterに書いたっていい。

キュレーションサイトがほんとにただ「まとめる」だけなのであればそれほど価値は無い気がする。「まとめるための軸」だったり、そこに加える個人の編集観点こそが、ただの検索エンジンや機械を越えた「価値」の源泉で、機械にはカバー出来ないニーズに対する答えやユーザへの見せ方をどれだけサポート出来るかこそがキュレーションサイトが今後持つ価値だと思う。

新聞や雑誌や、Webポータルやソーシャルメディアもキュレーションサイト

だいぶ前の記事ですが、佐々木俊尚氏の以下の記事の「キュレーション・ジャーナリズム」と言う単語がまさにそうかなと。

大雑把に言うと報道メディアには、世の中の事件や政治経済の動き・専門家への取材などをする役割(記者)と、それを伝える(編集者)の役割があると思う。新聞や雑誌、TVなんかは両者の動きを担ってますが、Webのメディアは後者の機能だけを持っていると言えますね。例えば朝日新聞を購読している人は、朝日という軸で切り取って世の中を見ること自体に価値を感じていて、フジテレビを見る人は同じくフジTVの切り口に価値を感じているのでしょう(だと思う。)同様にソーシャルメディアでURLやトピックを個人が「つぶやく」のは、それ自体が「編集」でありキュレーションで、「その人という軸」に価値を感じている人がそれを見る。と言う意味で、キュレーション自体がジャーナリズムとしての役割を既に持っている、というわけです。

人が求めるキュレーションとは

検索サイトやポータルサイト、ブログ、Webメディアなどにはみんな「キュレーション軸」とでも呼ぶべき編集方針があって、それが信頼を得て初めてメディアとしての価値を成していくのだと思う。食べログには「エリアとジャンルを入れると口コミで人気のおいしいお店が出る軸」があって、googleには「キーワードを入れると一番いいのが来る軸」がある。人がメディアを選ぶときに求めているのは、自分が信頼するに足る「軸」そのものなのだと思う。ソーシャルメディアの場合は人そのものが軸になり、「やっぱグルメならあの人が書いてる店にいくのがいいよね」とか「アキバならあいつが言ってるメイド喫茶がいい」とかそういう感じ。

そう考えるとキュレーションサイトの持つ価値は「検索エンジンやランキングサイトで上位に表示させられるコンテンツを作りやすい」と言うのが価値なのかも(=まとめやすい、個人という軸で人の信頼を得やすい)。

キュレーションのまとめの先

上にも書いたように、まとめるだけなら既存のブログにしろTwitterにしろそういうプラットフォームとさほど違いは無いように思う。今の検索で補えないニーズをどうカバー出来るか、個人の編集による価値をうまく他のユーザーのニーズと結び付けるか、それがキュレーションサイトの価値になっていく気がする。例えば検索されたロングテールのワードで全くコンバージョン出来なかったものに対して記事を書いていくことが出来て、ちゃんとその人のニーズにマッチさせる仕組みが出来たりとか、するんじゃないかなぁ。

ただ「キュレーション」でググってもさほど新しい記事が無いことを見ると、この言葉自体は意外と流行ってないというか一過性なのかも…と思ってしまう…。まぁ、それでも個人が情報を発信するWeb2.0の世界は進み続けるし、どんな呼び名であり止まりはしないだろうな。


個人の発信の究極の形と、最適なone to oneメディアの形って、どんなのだろう。そういうことを考えたい。