スマートフォン上のアプリとWebサイトの関係は今後どうなっていくのだろう。Webの新規事業を作る立場として考えたい。
アプリのパターンを2つに分けてみる
以下のようにアプリを2つに分けて考えてみます。明らかにMECEじゃないけどいったんどちらかに分類して考えて下さい。
- 端末の機能を使わないと実現出来ないアプリ
- UIだけアプリとして作って、コンテンツをWebから取って来るアプリ
1.端末の機能を使うアプリ
例えば今だとカメラとか、GPSとか、電話、通信機能自体を使ったアプリ(LINEとかも)。あとは高速/快適に動作するゲームだったり、アプリ固有のUIによってその価値が成り立っているもの。こういうのは今後もスマホのハードウェアが進化するたびに生まれて有意義なものが出来ていくと思うので、いったん置いておきます。
2.UIだけでコンテンツはWebにあるアプリ
例えばRSSリーダーだったり、検索アプリだったりそういうもの。何かしらユーザに対してコンテンツ(Web上に存在する、意味のある情報)を届けるものと言う意味では、アプリでも、Webサイトを直接見るのでも、ユーザとして得られる価値に変わりは無いと思う。ポータルサイトが出しているアプリケーションやリーダー系アプリは最たるものです。例えば最近Livedoorが以下のようなアプリ群を出しました。
スマートフォンで見る時に最適な形を提供出来る、と言う意味でWebからUIを変えたこういうアプリはアリだと思うし、必要だと思います。今後も増えていくんじゃないのかな。アプリとしては内部ブラウザでWeb上のブログサイトを見に行くだけです。ブラウザで「お気に入り」する代わりにアプリを入れる、と言う感じで使うと思う。ちなみにappleの規約だと確かWebをアグリゲートするだけのアプリはNGだった気がします(独自ブラウザに自動読み機能とかが付いてるので、ただのビューワーじゃないのですが。)
境界はどこに引かれるか?
上のようなアプリは「Web上のコンテンツをスマートフォン上で見やすくする」と言う価値があります。PCとは違ったインターフェース(例えばタッチ出来たり、フリック出来たり)が使えるので、それだけでも意味がある。
URLベースでアクセス出来るWebブラウザに代わるものが登場しない限り、一次情報源はインターネット上に残り続けるはずです。なのでアプリとWebサイトの違いはそのまま、「入り口をどこに置くか」の違いになってくるはず。「ブラウザから入るか」「アプリから入るか」のどちらがこれから広がっていくか、そういう問題です。
appleとgoogleの戦略の違い
iPhoneとandroidのマーケットの違いの言及はいったん置いといて、構造上、iPhoneの方がアプリの利用率も、有料比率も高い現状があります。対してandroidはアプリについてはそうでもない。「検索エンジン」が売りのgoogleとしては、Webサイトを捨てる理由は恐らく無いと思う。(世界中から情報をクロールして集めてインデックス化出来ていることがgoogleの価値なはずなので。)そういう意味で、apple(iPhone、iPad)はアプリ派、google(android)はWeb派と言えると思います。
アプリ vs Webと、その先
アプリを経由して、あるいはソーシャルメディアを経由して目的の情報源に辿り着く経路が存在し、それが大きくなっている昨今。この時に起きているのは「あれ、google別にいらなくね?」と言う状態じゃないか。極端な話、コンテンツに直接辿り着くことが出来る経路やアプリの存在は、現状のgoogleにとっては邪魔な存在とも言えるかもしれない。(マネタイズ出来ないし、検索エンジンも使われないので。)
だとすると今後、検索エンジンを使わせたいgoogleと、それを使わない経路に別の価値を見出してマネタイズする企業(appleやfacebook)で戦いはより激しくなると思う。アプリ的な世界でコンテンツを提供する企業は今の路線をそのまま進め、より検索エンジンを使わなくてもユーザーがコンテンツに辿り着けるような仕組みを提供していくんじゃないだろうか。それは「ありとあらゆるもののアプリ化」だったり、facebookのソーシャルなキュレーションによる「探さなくても、探せる状態」(誰かが探してくれる)だったりするんだろう。対するgoogleは恐らく、作った検索エンジンのインデックスをWebサイトからだけではなくて、違った形で参照出来るようにしていくんじゃないか?例えば、androidの端末上で、自分が端末を持って取った行動(位置情報や行動ログ含め)や、送ったメールに関連する検索結果がリアルタイムに表示されるようになったり(それが便利かどうかはわかんないけど…)