英語が苦手な日本人エンジニアが海外と仕事をする上での3つの必殺技 ES#000

必殺技と言っても別に手裏剣投げたりするわけじゃないです。でも手裏剣は小道具としてはアリだし、ある意味正解です。空気をつかむ方法は万国共通だと思うし、外国の方は皆さんはほんとニンジャとかサムライとかNARUTOとか好きです。僕は手裏剣じゃなくてガチャポンをお土産に持っていくというのをやったことがありますが、少しは喜んでもらえた気がします。

ちなみに英語が苦手でも意外とどうにかなると言うのがこの1年くらいの感想です。僕自身はTOEICは600点切るくらいのごくフツー(か、それ以下)の英語レベルで、国内のWeb系ユーザ企業のエンジニア職種です。大学は理系だし論文も英語で読んだり書いたりしたからそれなりに出来るけどいざ会話になると何話していいかわかんないしそもそも言葉がうまく出て来ない…と言う、とてもよくいるであろう典型日本人パターン。

前の日記にちょっと書いたんですがここ1年くらい仕事で英語を使う機会があって、現地の人と話したり毎週電話会議したりしてます(いつも英語と日本語両方出来る方が間にいて下さるのでとても助かります)。それでも仕事を通じてどんな感じで英語が必要で、実際どう切り抜けてきたのか、同じような境遇のエンジニア系の皆様に向けて必殺技をご紹介したいと思います。(英語が出来る人はもっとカッコよく色々進められると思うので読まなくていいです!)

ところで、そもそもなんで英語を使う必要があるのか

国内の企業とはいえ、仕事をしていると海外の会社とのやり取りがあったりするわけで、こういう機会はこれからもどんどん増えるんでしょうね。英語が話せる人は当然ながら増える方向だし、国内外の人の出入りはどんどん加速していくし。IT企業と言うかSIerだとオフショアとかで英語使う機会も多いんだろうか。まぁでもその場合はこっちがお客さんなので、日本語話せる向こうの人が間に入ったりするのかな。

英語圏の人と仕事をするなら、当然ですが仕事なのでコミュニケーションは必要なわけで。向こうが日本語話してくれるならいいですが国際的なスタンダードは英語だしドキュメントと言葉が違うのも困るので基本は英語が望まれます。強行に「日本語で!」と言えば何とかならなくはないかもしれないけどそんなことが出来る状況はあまり無いと思います。ちなみにこないだ「日本語分かる人そっちに付けてもらえませんかね?」と言う話を先方にしたら失笑されました。無様ですみません。

日本人のエンジニアに必要なスキル

ドキュメント読む以外だと、英語使う機会が多いのはプレゼンとディスカッションでしょう。エンジニアの方なら分かると思うんですが、何かシステムを作ったり企画する時にはまず要件定義をする必要があるわけで、要件定義なんてひたすら会話しないと中身が詰められないものです。もちろん事前にお互いプレゼン資料とかをいっぱい作っていくものの議論や質疑は当然出ます。(そのために会議してるので。)

なので、エンジニアとしてまず英語で出来る必要があると思うのは以下の感じです。

  • プレゼン作る(書く能力)
    • これはgoogle翻訳とexcite翻訳とalcをフル活用して頑張りましょう。まだこれは出来る人多い気がする。文法が間違ってても気にしない。後で書きますが単語が合っていれば大体通じます。
  • プレゼンする(読む能力)
    • ぶっちゃけ全部覚えて棒読みでも通じるので(!)自信が無かったら「全部覚えて読む」でなんとかなると思います。なので「話す」ではなく「読む」スキルとして分類。考えずに無心で読めば、みんな読むことくらいは出来るはず。そもそも大枠は資料に書いてあるので大体通じます。質疑は途中で受け付けず最後にもってくるとテンパらないので楽です。
  • 相手のプレゼンを理解する(聞き能力)
    • 上とは逆ですが、聞き取れなかったり分からなければ途中で聞いちゃった方がいいと思います。後で巻き戻って聞くと「分かんないなら先に聞けよ…」と言う空気になるしそもそも自分がその続きを理解出来ないので。

で、お気付きだと思うのですが、ここまでは「コミュニケーション」ではなく一方通行です。ここからが問題です。

  • 質問する
  • 質問されたことに答える
  • 議論する
  • 結論をまとめる
  • お願いする、お願いされる(交渉)

みたいなことをする時にどうすればよいのか。プレゼンなんかは準備が入念に出来るので何とかなったとしても、質疑とか議論は何が飛んで来るか分からないので全ては準備出来ません。ので、ぶっちゃけ英語が苦手な僕はこの辺りうまく言葉にしてつないでいく自信がありません。そのために使っている技が以下の3つです。

必殺技その1 テクニカルタームを使う(技術は世界を超える)

これが一番大事なポイントです。エンジニアの皆さんに安心して頂きたいのは言うまでもなく「技術は世界を超える」という事実。我々はjavaだったりサーバクライアントモデルだったりHTTPと言うプロトコルだったりLinuxのコマンドだったり、実は彼らと非常に多くのコミュニケーション基盤を持っているのです。なので恐れることはないのです。「コマンド間違えて rm -rf / しちゃってさ」と言うエンジニアのジョークは万国共通なのです(これは別にジョークじゃないな…)。"Oh! It's terrible!"(そいつはやべーな!)とか言われちゃうわけです。「バックアップ取ってなかったら俺いまここにいなかったわ。」と良いながらハイタッチしちゃうわけです。

なので会話をする際には「出来るだけテクニカルタームに寄せる」ことを意識した方が、経験上通じます。その会議のテーマになっている技術背景は自分も相手も同じはず。langの環境設定が違うだけで、見ている画面や使っている技術やツールは同じだと思うと気が楽になりませんか?同じeclipse使ってるし、同じapacheのconf見てるわけです。僕の場合はAndroid周りが多かったのでjavaとかandroid SDKの仕様周りの言葉を中心に選んでいけば大体通じてた気がします。

テクニカルタームを並べれば、文章になっていなかったとしてもあとは必殺技2と3の組み合わせで何とかなります。

必殺技その2 ひたすらホワイトボードを使って書く(図も世界を超える)

議論をする際にとにかく理解を進めてくれるもの、それはやはり「図」でしょう。そもそも何かのアーキテクチャを説明するにあたって会話だけでは成立するはずがないのです。なので図を描きましょう。議論するなら何かしら図とか表とか、何なら絵とか描けると思います。ホワイトボードが無ければ紙でもExcelの上でもいいですが、とにかく図示することが大事です。どんな言語であってもエンジニアが描く図なんて大体同じようなもんです。

1との組み合わせで、やりたいことやイメージしている構造を絵に描いて、それを矢印と線でつないで、その横にデータの名称とかコンポーネントの名前や機能を書き加えていく…これだったら出来そうな気がしませんか?無言でひたすら描いてもいいのです。描いてるうちに「あ、これとこれはつながってるのね」「なるほど、このプロトコルはこういうシーケンスで流れるのか」「いやいやその線はそっちじゃなくてこっちに引くべきだろ」「お前ほんと絵心ねーな…」みたいなことが会話せずともお互い図に書き込んでいくだけでコミュニケーションとして成立するのです。(しました。)

必殺技その3 相手に言わせる(得意な方が喋ればいい)

1と2を使いながらも、話さないといけないという恐怖があります。それこそIt's terribleです。頑張って喋る努力は必要ですが、話せないものは話せません。こっちはテクニカルタームをつないで絵に描いて、何とか理解してもらうように頑張りましょう。あとジェスチャーは大事です。気持ちや、ものの大小、数なんかが伝わるので。うまくいけば相手から"Is it correct understanding?"(こう理解してるけど合ってる?)とか"You mean ~~?"(つまり〜〜ってこと?)みたいなことを色々言ってくれます。優しい相手なら、こっちが分かってないなと思ったら違った英語使ったりゆっくり話したりしてくれると思います。相手が優しく無い場合は、何とかお願いしましょう。

相手が話してくれるなら、極論すればこっちは"No...", "No......", "Yes that's right!!!!"みたいな反応でも大丈夫だと思います。(言い過ぎ)

話が逸れますが、英語圏より英語を母国語としてない人たちの英語の方がやっぱり聞き取りやすいですね。お互い一番得意なわけじゃないから言葉も簡単になるし、必然的にゆっくりになるので。

思っているより、向こうの人はみんなやさしい

海外企業とのタイトな交渉シーンや法律が絡んで来る部分なんかはよくわかりませんが、恐らく技術的な議論なんかをする場ではそれほど英語は厳密である必要は無いと思います。エンジニアとしての本分は見た目(英語のきれいさとか)ではなくて、大事なのは「中身」(何を作るか、何が出来るか。いかに良いものを作れるか。)でしょう。だからもっと自信を持っていいんだと思います。

海外の企業と協力して技術的に何かを「作る」とき。英語は出来るけど技術は全く分からない人に何か出来るのかと言うと、通訳以上のことは何も出来ないはず。でも技術はちゃんと分かるけど英語が全く話せない自分になら出来ることがあるし、自分にしか出来ないことがあります。コミュニケーションなんてツールでしか無いから。


考えてみれば向こうも海外を相手にしているわけで、母国語じゃない以上ある程度の考慮をしてくれることが多いと思います。もちろんそれに甘えていては進歩が無いので努力は当然必要ですけど。我々も日本語が母国語じゃない人が話してるのを聞くと頑張って聞き取ろうとするし、平易な言葉を使ったりするし、ゆっくりも話しますよね。

仕事の中とは言え、結局はコミュニケーションなので。お互いがお互いを思いやって出来る限りのことを精一杯やっていれば、何とか通じさせることは出来るんじゃないでしょうか。僕なんかは話すのが苦手なので、去年1年間はいかに当日話さなくて済むように事前の資料作りやプレゼンの内容を作り込むか、質疑応答の想定をたくさん作れるかを会議のたびにひたすらやってました。あとは徹夜でトークスクリプトを作ったり英語が得意な友達に話す練習に付き合ってもらったり。。そういうのを経て少しはマシになってきた気がしています。

必殺技の向こう

海を越えて、目的を同じくする人たちが集まって仕事をする。英語に対する苦手意識がなくなっていけば、国内だけじゃなくて海外とも仕事が出来るし色んな可能性が広がっていく気がします。国際競争力がどうとか社内公用語が英語だとかそういう話ではなくて、単純に良い仕事やいい未来のために、自分のために英語を使えるようになるってこと。もっと言うと英語を母国語とする人たちとコミュニケーションを取る術を身につけること。

それが出来れば、何より自分の人生がとても豊かになっていく気がしています。言うまでもなく世界はとても広い。

と言うこともあって、今月から英会話を始めることになりました。英語が出来ない自分が何とかやってきたこういうことが、半年後には「こいつ必死だったんだな…」と思えるようにがんばりたいと思います。

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