GWに読んだ本のうちの一冊。書店で平積みになっていたので買ったんですが、結局今まで家の本棚にまた平積みしてあったのでようやく読みました。
ちきr、もとい、この伊賀さんの語り口や本の図の使い方はどこかで見た事がある気がしつつ、マッキンゼーの採用基準の話をベースにしながら「なぜ誰にでもリーダーシップが必要か」について書かれた本。リーダーシップとはそもそも何なのか、なぜそれが必要なのかについてすっきり出来ました。
マッキンゼー志望者向けの本?
と言うわけではもちろんないです。確かにマッキンゼーの採用基準についても詳しく書かれていて「地頭がいいだけじゃダメよ」と言う話が最初に書かれていますが、それはあくまで「リーダーシップの必要性」について書きたいがためかなと。マッキンゼーだろうが今後どの企業だろうが、日本全体、いや世界全体を見渡してもキャリアに重要なのは「リーダーシップ」であると言う話です。
リーダーシップの必要性
なぜリーダーシップが必要なのか。そもそも日本の教育や企業の評価・仕事の進め方では、海外と異なり「リーダーシップが必要とされていない」ことが問題として挙げられています。それによってホワイトカラーの仕事でさえも海外に移転していく可能性があると。
以下、引用です。
リーダーとはどんな人なのか、定義として言葉では明確にできなくても、日本人もそのことはよくわかっています。「リーダーとは和を尊ぶ人ではなく、成果を出してくれる人だ」と、実はみんな、理解しているのです。
例として「家族を乗せる救命ボートの漕ぎ手を選ぶ」と言う話が出て来るのですが、その漕ぎ手に選びたいと思える人こそが自分が「最も信頼しているリーダー」であると。言わば「命がかかっている」選択に対するリーダーとして、その人を選べるかどうか。別に嫌なやつだとか、性格が好きじゃないとかそういうことは関係なく、あくまで「乗客を無事に生かしてくれる」と言う目標にコミットして一番達成出来そうな人間こそが、一番頼れるリーダーのはずです。
日頃の仕事だってほんとは同じはずなんですよね。仕事なんて命がかかっていないように思いますけど、「会社の目標や売り上げが達成出来なければ死ぬ!」と言うくらいの気持ちを持っているのであればリーダーシップは発揮せざるを得ません。それに対して一番コミットして、ありとあらゆる手段を使って成し遂げようとする人こそが、会社においてはリーダーにふさわしいのでしょう。きっとベンチャー企業の社長とかはみんなそう思っているはずです。ただ社長に限らず、社員であっても全ての人が持っている組織の方が強いし、個人の視点から考えても持っているべきものだと言う話です。
4つのリーダーのタスク
明快だったので引用して書いておきます。リーダーがやるべき4つのこと。
- 目標を掲げる
- 先頭を走る
- 決める
- 伝える
説明は不要でしょう。言われてみれば会社でもすごいと思えるリーダーはみんなこれらが出来ている気がします。
リーダーシップと「お前はどうしたいの?」
そう言えば、うちの会社にはこの本に書かれているのと似たような行動指針というか、社員がみんな持っているマインドがいくつかあります。例えば仕事をしていてもすぐに「お前はどうしたいの?」と聞く文化があるのですよね。そして自分もいつの間にか同僚にそれを訊ねています。これって考えてみるとその仕事におけるリーダーシップの在り方についての問いなんですよね。
仕事は最初確かに上司から任されたもの、自分の身にどこからか降って来たものかもしれませんが、それを遂行するからにはそのリーダーは自分であるべきだと。仕事を振っといて「お前はどうしたいの?」と言うのもどこかおかしいような気もしますが、日常的に行われているしあまり違和感は感じません。進めるからには「その仕事をすべきかどうか」の判断まで含めて自分がリーダーシップを取らないと、会社にとっての本来の意味での貢献にはならないと思います。それは社畜どうのと言う意味の無い議論ではなくて、あくまで会社の何に対してコミットするか、と言う話なのですよね。
「自責で考える」とか「圧倒的な当事者意識」とか、あまり一般的ではないようなフレーズが社内にはいくつもありますが、考えてみればどれも「リーダーシップを持て」と言う事を換言しているのかもしれません。
著者曰く、リーダーシップは「広がる世界で人生のコントロールを握る」ためのパスポートであると。逆に言えば、自分の人生を主体的に生きているのであれば既にリーダーシップは持てている、と言えるかも知れません。世の中や環境に文句を言う前に自分が出来る事は無いかを探すこと、仕事や役割を与えられたものとしてだけ認識するのではなく、どうあるべきかをゼロから自分自身で考えて動くこと。それは確かにどんなテクニックよりも大事な、幸せな人生を生きる・幸せに仕事をするための思考法だろうなと改めて思ったのでした。まる。
参考。伊賀泰代さんのサイトだそうです。インタビュー見るだけでも面白い。
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